大学時代(初回)、私は様々なアルバイトをしてみたのですが、生まれて初めてのアルバイトは”塾講師”でした。
その学習塾では、小学生から中学生の個別指導を担当します。当時、まともに勉強を始めてまだ1年半くらいの私。もちろん、これまでに小学校の授業はほとんど受けたことがないし、中学校の学習要綱はほぼ未到達。高校3年生の夏、いきなり受験(私立文系)することに決めてからまともに勉強を始めたので、まともの学習したのは国語、英語、社会(世界史)の3教科のみ。なので、面接の時、教えられる科目は英語、国語、社会とお伝えしました。そして、塾長も納得の上、無事採用となりました。
塾講師を始めてからしばらくは、中学生に英語を教えることが多く、特に英語が得意になり始めていた私は、順調にキャリアを重ねていきました。笑 しかしながら、何を思ったのか、塾長は「小学生の算数だったら問題ないかと思いますんで授業お願いします〜」と無茶な要求を突きつけてきました。まぁ、挑戦しないうちから「無理です」というのもおかしな話かと思い、とりあえず教材をコピーして家に持ち帰り予習することにしまいした。
家に帰り、教材を見た私はその驚愕の内容に絶句。
「一周10kmの池を、Aくんは左回りに時速3km/hで進み、B子ちゃんは右周りに時速2km/hで進みます。二人が出会うのは何分後でしょうか」
・・・あかんこれ無理なやつ。やり方が全く分からへん。
解説を読んでも、まだ方程式の概念も未達のため、いまいちピンとこない私。
困り果てた私は、恥を承知の上で、デートに算数の課題を持ち込み教えを請うことに。大きなビルのカフェみたいなところで、「小学5年算数」の教材を開き、存分に指導していただいたお陰で、なんとか次回教える算数の範囲を予習できました。
満を辞して授業に臨んだ結果は、、、予習していった部分の10%くらいしか進みませんでした。笑
そもそも相手(小学生)に全くやる気が無く、終始集中力を欠く小学生。こっちはどんだけ予習してきたと思っとんじゃ、という感情は押し殺し、穏やかに授業は終了しました。
こうして、初めての算数の授業は無事?終了しました。
みかけ上、問題無く算数の授業が終わったこともあり、そうこうしているうちに、塾長は徐々に算数の授業を入れてくるようになりました。こうなってくると、悲劇が起こるのは時間の問題です。
それは、予習していった範囲を超えてくる強者小学生を受け持った時に起こりました。
いつものように教える範囲を予習していった私は、いつものように授業をしていくのですが、その日は想定よりもかなり進むスピードが速く、あっという間に予定していた範囲を終了してしまいました。
そこでその日の授業を終了するわけにもいかず、アドリブで授業を進めていくことになったのですが、予習してきていない問題に対応できない私は、うまく教えることができず。大変残念な結果となりました。
普通の人間であれば、「まぁたまにはうまく教えられなくてもしょうがないか〜」などと思うところだと思いますが、私は強迫性障害の端くれ、「完璧にできないことはアルバイトとはいえ、仕事にしてはいけない」と、ここでも完璧主義精神を発揮し退職を決意。
その後、”小学生に算数を教えることができない”という塾史上初であろう、前代未聞の理由による退職願を提出し、私の塾講師としての仕事は幕を閉じました。
短い間でしたが、塾講師として貴重な経験を積ませていただけたことに、今も感謝しております。
こうして、算数や数学をまたしても回避することに成功した20歳の私ですが、それから4年後に、どうしても数学から逃げ切ることができなくなる事態が発生するとは、このときは知るよしもありませんでした。
つづく
たぬ
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